こんにちは、iPad勉強歴5年の医学生のしおん@preproshio_medです。
2022年の1月に心電図検定の3級を受けてきました。
心電図検定は、ひたすら心電図の問題を見て答える試験です。医療系学生や医療従事者の心電図の勉強の指標として適した資格試験です。
この資格を取ることで、何かメリットがあるといった資格ではありませんが、勉強の目標とできますし、バッチが貰えるので該当する人は自分の到達段階にあった級を受けると良いかもしれません。
本記事では、心電図検定を受けるか考えている人、勉強の方法を迷っている人に向けて一通りの内容を説明していきたいと思います。
心電図検定の級
まず、最初に心電図検定は、受験する級を決める必要があります。
- 4級: 心電図の基礎的な判読力を有するもの
- メディカルプロフェッショナル、心電図に興味のある医学生
- 3級: 心電図の基礎〜中等度の判読力を有するもの
- 一般臨床医、循環器勤務メディカルプロフェッショナル
- 2級: 心電図の中等度~高度な判読力を有するもの
- 一般循環器医、循環器勤務ベテランメディカルプロフェッショナル
- 1級: 心電図の高度な判読力を有するもの
- 循環器専門医、心電図に深く精通したメディカルプロフェッショナル
4級は心電図の所見のみを問われることが多く、疾患についての問題が少ないと聞きました。3級は、それに対して所見だけでなく疾患を決定させる問題が多く登場します。難易度としては医師国家試験に必要となる心電図よりちょっと難しいくらいかなと思います。
いずれの級でも心電図検定のみで問われるような(他の試験や実臨床での登場頻度の少ない)問題もありますが、大体目安としては上記のような形です。2級や1級はさらに難易度が高くなります。今回は受験の検討に入っていないので、省略します。
勉強法のところでも述べますが、4級の公式問題集は存在しないことと、診断をつけさせるところまで問題が至っていないところから、医学部の5年生(ある程度医学の基礎を学び終わって実臨床を目にする機会のある人)が挑むには少し不適切なのかなと思い、3級を受けることにしました。
もし、4年生などまだ臨床の科目を勉強し始めたばかりの段階であれば、4級も検討していたかと思います。
引用元: http://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/kentei-05/
心電図検定についての情報はSNSなどで発信している人も多いので、事前に確認しておくと良いと思います。
合格基準
相対評価で合格するようです。各級ごとに合格率が表記されています。
心電図検定の勉強方法
- Input
- 心電図について書かれた本を読む
- Youtubeで心電図検定対策の動画を見る
- Practice
- 心電図検定の対策の本を回して演習
僕は、Input–>Practiceという順で行いましたが、Practiceしながら必要に応じてInputする方が効率が良いと思います。
心電図について書かれた本で理解
必要に応じて調べることができる本を1冊持っておくと良いと思います。
僕は、医学部の基礎試験であるCBTや、大学の試験でそこそこは心電図を勉強したことはあったのですが大量に学習したことはなかったので、良い機会だと思い基礎からやり直すことにしました。
使用した教材は、これだけ心電図です。レジデントのための…と書いてありますが、医学生でも十分使えます。
全く心電図を知らない人でもある程度読めるかと思います。病気も一緒に勉強したいのであれば、病気がみえる循環器の最初の方の心電図の読み方も参考となります。
他にもパーフェクトマニュアル、3秒で心電図を読む本なども有名ですが、適当に調べてみて最も合うと思ったものを使うと良いかと思います。
Youtubeで心電図対策の動画を見る
心電図の読み方についてのコンテンツは昨今充実しており、Youtubeでも手軽に超優秀な人の動画を見ることができます。これらの動画で一通り知識を入れておくと良いと思います。
僕は、米山先生の動画を見ました。途中で知りましたが他にも有用な動画はあったみたいです。
1級を受ける人や自分の苦手な部分がわかっている人は、以下の動画が良いと思います。
長期的に勉強する人は、心電図道場のLINEを登録するのも良いかもしれません。また、僕は登録していませんが、心電図勉強用のDiscordグループもあるようです。
心電図検定対策問題集を解く
とりあえず、3級の(おそらくは4級、2級も)対策はこれに尽きます。
心電図検定は過去問が公開されていないので、本番に近い状態の問題はこれだけになります。
有志によって級によっては再現問題が出たり、出る項目が公開されたりするようですが、心電図の問題の作成コストは結構大きいので問題の使い回しをすることもあり、問題の公開は今後もされないと思います。
対策問題集には、1級相当から3級相当までの問題が収録されています。3級を受けるならこの中で3級の問題を解け…ればいいわけではありません。
1級の問題は難しすぎるのでまあ無視しても良いと思いますが、少なくとも2級の問題は解説を読み込むことも含めてやっておいた方がいいです。
僕は1周目全ての問題、2、3周目は2,3級相当の問題のみを演習しました。
1周目はとりあえず心電図の読み方や所見を理解していくためにじっくりと読み、そこで足りない知識は本や動画を見ることで補っていました。また、得た知識はノートにメモして、心電図を読むためのFLOWを確立するために自分なりの読み方を作成していきました。
心電図の判読方法
判読する際に気をつけていたことは以下の3つです。
- 波形を単純暗記するのではなく、疾患、病態と結びつける
- 鑑別を意識する
- 一発で見分ける心電図を覚える
1つ目はさておき、2つ目は、読み方のFLOWを確立する際に、3つ目は試験場で役に立ちます。
僕は、心電図の読み方のFLOWを作成していました。SNSなどで自分流の心電図の読み方を共有している人がいるので、それを参考として作成すると良いと思います。
どの順番で心電図の波形を読むか?そこでどの疾患や病態を鑑別するのか?(どのような所見がみられたらどの疾患を考えるのか?)を意識しながら作成していました。
例えば、P波の確認では、Ⅱ誘導でP波確認、陽性と確認した後に、房室ブロックと洞不全症候群の鑑別のために全てのP波の確認をしていました。
ただ、これを本番全ての問題でやると時間が足りなくなりますし、そもそもやる必要のなさそうな一発判断の問題もあったので、その辺りは別で暗記していました。
この辺りを総合的に考えて、以下のように考えていました。判断FLOWに入る際には定規を携えて使った方がいい場合には使用していました。
心電図検定当日
心電図検定の持ち物
- 定規
- 写真
- 時計
ちなみに、僕は時計をApple watch以外持っていないので腹時計で挑みました。
定規はP波やQRS波の間隔などを測るのに用います。練習する際からある程度使っておき、慣れておくと良いと思います。フィーリングでやるとどうしても微妙に伸びていっているものをみおとすので…Wenckebach…
心電図検定の受験票には写真を2ヶ所貼り付ける必要があります。この写真は当日の身分の確認でしか使わないので適当なものを使っても大丈夫です。
以下のアプリを使うことで費用を安く手軽に写真を用意することができます。
時間配分
当日の時間としては圧倒的にわからない問題を除くと、上記のやり方で1回解く、解き直しを80%ほどするくらいで時間になりました。
結構時間がないので、わからない問題は捨てるなどしてわかる問題から解いていきましょう。
心電図検定に対する反省とこれから受ける人へのアドバイス
僕の心電図検定へのモチベーションは、実習で回っている間に苦手だと感じた心電図に大量に暴露して基礎的な判読能力を取得したいというものでした。
このため、3級を受験しましたが、Twitterなどを見ている限り2級以上を受けている方もかなり多かったです。もっと勉強すれば2級以上も受けられたかもしれませんが、今回の僕の目標は達成することができたのでよかったなと思います。
また、心電図検定3級は2日の勉強で受かった人もいましたし、2週間程度勉強してオーバーキルしていた人もいましたが、ある程度医学を勉強したことがある人が知識の集約のために受けるのであればそれほど時間もかからないのでとてもよかったです。
僕もFLOWの確立込みで2時間x5日、6時間x2日程度の勉強量でした。
心電図に苦手意識を持っている人、心電図が得意になりたい人はぜひ挑戦してみると良いかと思います。