科目ごとの勉強法

寄生虫学総論

寄生虫学

大学により、試験の重さが違っており、勉強法に困る寄生虫学。

寄生虫感染症は日本であまり見られないことが多いため、医学部の勉強においても他の基礎医学系の科目に比べて重要視されないことが多いです。

しかし、寄生虫を簡単に学びたい、CBTへの足掛かりにしたいというときに手軽に学べる教材がないのが現状です。

とりあえず…全部覚えるというのが難しい寄生虫。

理解して暗記しましょう。

 

この記事では、主に医学生向けに寄生虫学の総論を説明します。

そもそも寄生虫とは?

寄生虫とは、宿主の体内にある部位に寄生する生物のことを言います。

微生物やウイルスよりも大きく、目に見えるものも多いです。

 

宿主に寄生してその栄養を受け取りながら成長していくものが多いため、多くの寄生虫は宿主を殺しません。ここがウイルスや細菌による感染症との大きな違いです。

重篤な作用を引き起こすものが少ないために、寄生虫に感染しても気づかないこともあります。

 

寄生虫は生活環と呼ばれる成長段階をもち、虫卵→幼虫→成虫というように成長します。このうち、どこかの成長段階(ステージ)が宿主に寄生します。

寄生虫は成長しながら増えるので、幼虫が2つに分裂するということはないので、人体で数が増えないものが多いです。

 

なので、寄生虫学では、

  • 寄生虫の生活環
  • 寄生虫の見分け方

を勉強することが重要です。

 

寄生虫ってどう勉強すれば良いの?

上で述べたように、まずは、生活環(宿主・寄生部位)と感染経路を覚える必要があります。

寄生部位と、その成長段階がわかれば、症状や予防法も覚えやすいです。

それから、駆虫剤である治療法を覚えましょう。

 

また、寄生虫を媒介する衛生動物も寄生虫学で学ぶことがあります。

 

生活環

生活環とは、虫卵から成虫まで成長していく過程です。

生活環が成立するところではヒトに感染が起こりますが、そうでないところでは成立しません。

なので、例えば、海に一度も出たことがないサバを食べてもアニサキスに感染する心配はありません。これは、アニサキスは海の他の生物を生活環に持っているからです。

 

海で捕れた新鮮なサバにはアニサキスがたっぷりと寄生していることが多いです。

アニサキスは、中間宿主:オキアミ→待機宿主:海産魚類(サバ、タラetc)→終宿主:クジラ

 

宿主

寄生虫の宿主には

  • 中間宿主
  • 終宿主
  • 待機宿主

があります。

 

このうち、寄生虫の成長に関わるのは、中間宿主・終宿主です。

  • 中間宿主:幼虫が寄生する宿主
  • 終宿主:成虫が寄生する宿主

終宿主では、成虫によって有性生殖が行われます。有性生殖が行なわれた後、虫卵が放出されます。

 

待機宿主:寄生虫の成長には不必要ですが、中間宿主から終宿主への寄生虫の移動を手助けする役目を担っています。

待機宿主では、寄生虫ステージは成長しない

 

宿主にどのようなものがあるのかを覚えるのがポイントです。

 

寄生虫の感染力

寄生虫のどのステージがヒトに感染力を持つか確認しましょう。

虫卵が感染することもあれば、幼虫が感染すること、成虫が感染することもあります。

感染しないステージの寄生虫を取り込んでも感染することはありません。

 

気をつけなければいけないのは、宿主でなくても害を及ぼす可能性があることです。

例として、幼虫移行症があります。

幼虫移行症とは、本来の宿主でないものに寄生したときに幼虫が個体の中を動き回る際に起こります。

幼虫移行症は、体内移行症と区別する必要があります。

体内移行症は本来の宿主で動き回る(成虫になる前に動き回る)ことによりおきます。

 

感染経路

圧倒的に経口感染が多いです。

まあ経皮感染が多いなんてたまったものじゃないですけどね。

 

寄生虫の種類

蠕虫(条虫、吸虫、線虫)、原虫(単細胞真核生物)の4種類があります。

 

原虫は微生物として教えられることもあります。

原虫の方が重篤なものが多く、有名なマラリアも原虫の1つです。

 

蠕虫

条虫紐状(きしめん)雌雄同体
吸虫扁平、吸盤を持つ雌雄同体
住血吸虫扁平、吸盤を持つ雌雄異体
線虫うどん状雌雄異体

蠕虫の感染症では、基本的には体内で寄生虫の数が増えることはありません。

また、寄生虫は、宿主に寄生する虫なので、宿主のことを殺すことを良しとしません。

そのため、生命を脅かすような感染症はあまりありません。寄生虫はいずれ寿命が来て勝手に死んでくれます。

 

蠕虫は、リンネの生物分類法によって条虫、吸虫、線虫の3つに分けられます。

この区分は、界門綱目科属種のうちの、”綱”で、条虫綱、吸虫綱、線虫綱に分けられます。

生活環、治療法などが大きく異なるので、3つに分けて覚えることが重要です。

 

条虫

条虫は、さらに擬葉目、円葉目に分けられます。この2つで、生活環が異なります。

ヒモ状の形態をしており、数ミリの頭節と、数メートルの片節からなります。

かなり原始的な生き物で、消化器官を持ってないので、体表面から栄養を吸収します。

※体表面が小腸の絨毛のような構造をしています。

特徴

雌雄同体

中間宿主が必要

 

吸虫

扁平な形をしており、2つの吸盤を持っています。

消化管は盲端(先で行き止まりになっている)なので、口から取り込んで、口から排泄する

 

特徴

雌雄同体

※住血吸虫だけは雌雄異体

 

線虫

脱皮して、成長する。

幼虫の成長段階のうちヒトに感染するのは、第3期幼虫からです。

 

特徴

うどん状の外見

消化管は口腔から肛門まで持つ

原虫

蠕虫に対して原虫は

  • 体内で増える
  • 急性、重篤な感染症が多い

という特徴を持っています。

 

 

 

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