医学部の専門基礎科目の中でもかなりの比重を置かれる解剖学。
範囲が広く、どこからどのように勉強したら良いのかわかりにくい上に、多くの大学で試験が厳しい傾向にあります。
解剖学を勉強する上で重要なことは、大体どのような構造になっているか知ること、その知識を深めること、そして視覚的に暗記することです。
僕の解剖の勉強法
解剖学は座学と実習の2つに分かれています。
まず、座学では入門書である程度の構造を理解しました。ここで理解するときには、複雑な構造を勉強するのが難しいので簡単にまとまっており、図がわかりやすいQシリーズ解剖学を使いました。
僕の大学では、解剖学の座学と生理学が同じタイミングであってもいたので、両方の基礎知識をつけるためにも人体の正常構造と機能を使っていました。
この2冊である程度の基礎知識を入れた後、解剖実習を行ないながら足りない知識や複合的な位置関係の把握には、グレイ解剖学を使って勉強しました。また、解剖実習には解剖実習の手引きとアトラスのアプリを使用しました。
これで大体漏れなく勉強できました。
以下では、僕が使ったものも含めてこれから解剖学を学び始める人、解剖学を学び始めたばかりの人向けに、おすすめの教科書・参考書を紹介します。
Qシリーズ解剖学
解剖学の概観を掴みたいという人にはQシリーズがおすすめです。
一般的な解剖学の本に対して、それほど分厚くなく、また分野ごとに内容が説明されています。
重要なところが載っているので手っ取り早く重要な部分を押さえられます。
骨、筋肉、神経、血管それぞれが体の部位ごとにバラバラに記されています。
解剖学に関係している病気などの記述がほとんどない
解剖学では、最初系統ごとに内容を勉強します。脈管系、神経、骨、筋肉というように部位ごとにバラバラに理解、暗記していきます。そのため、Qシリーズはまさにそれを勉強するのにうってつけの本です。
しかし、それぞれの位置関係は載っていないので、位置関係をおさえることが難しいです。
また、解剖学的な構造に由来するような病気はあまり載っていません。試験で問われるような大学では、Qシリーズでは足りません。
人体の正常構造と機能
基礎医学の導入書としておすすめの本です。先ほどのQシリーズと違うのは、生理学との関連を見ることができるということです。
医学部の専門基礎科目の中で解剖学と生理学はどちらも重要です。どちらも同時期に勉強するところが多く、その両方の基礎を学ぶことができます。
イラストなどもわかりやすく、解剖生理など基礎医学をさらって学びたい初学者には大変おすすめです。
また、第3版からは電子書籍版も付属しています。そのため、iPadでの学習にもかなり使いやすいです。
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グレイ解剖学
2つ入門書を紹介しましたが、次は専門書です。
軽く解剖学を学ぶというだけでは、先述した2冊で十分だと思いますが、医学部の勉強では、それでは不十分なことが多いです。
そのため、専門書があると、深く勉強するときに役立ちます。
体の部位ごとに位置関係を把握できる
筋肉、骨、神経、血管などといった項目ごとではなく、体の部位ごとに混ぜてあるイラストが描かれているので、それぞれの位置関係なども見ることができます。
例えば、縦隔の構造はどうなっていますか?というときに、それらの臓器の位置関係の説明がわかりやすく書かれています。
臨床の内容も扱われている
コラムのような形で臨床の内容が時折入ってきます。
解剖学を最初に学ぶ段階では、ほとんど覚えなくて良いと思いますが、いずれは覚える内容です。臨床科目が始まった後も解剖学に立ち返ることもあります。
なので、臨床への道標となる一冊でもあります。
アトラスはいらない
解剖学を勉強するときにはアトラスというイラスト中心の本を用意します。
これは解剖学は、視覚で覚える必要がある学問だからです。
大体の解剖の本では、イラストや写真が不十分なためアトラスが必要になります。しかし、グレイ解剖学だけは、豊富なイラストがあるので、アトラスは必要ありません。
なので、一冊でOKという意味では万能の本だと思います。
電子書籍
登録してログインすることで電子書籍版を見ることもできます。
人体の正常構造と機能と同じく自炊(裁断してスキャンすること)する必要がないので、iPad勉強を始めやすいです。
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解剖学講義
大学側から教科書として指定されていたので、最初に解剖学講義を購入しました。外見は、the 解剖学みたいな感じの本です。
僕は買ったもののほとんど読みませんでした。
先ほど紹介したグレイ解剖学と解剖学講義、イラスト解剖学のうちどれが合うかは好みによって違うので書店で一度見てみると良いと思います。
理屈をしっかり勉強したい人には、解剖学講義が好まれていました。解剖学講義は、図やイラストで理解するというよりも、文字で理解することに重きを置いています。
僕は図が少なかったので少し使いづらいなと思い、グレイを使いました。
イラスト解剖学
冒頭で説明したように解剖学を学ぶなら視覚的な理解が必要です。しかし、リアルな図を見てもイマイチピンとこない人には、イラスト解剖学がおすすめです。
イラスト解剖学はクリアカットに書かれたイラストで解剖の構造が描かれていることが特徴です。特徴的なイラストが描かれているので記憶に残りやすいので、上記の専門書2つよりも合うという人もいるかもしれません。
解剖学は視覚的な勉強が重要です。
そのため、解剖学講義やイラスト解剖学ではじめに定義を学んでもその後何かしらの視覚的な教科書を用意した方が良いと思います。
僕は使っていないので、ここでは紹介していませんが、解剖学講義ではイラストなどが不十分なので、プロメテウスアトラスなどのアトラスを一冊用意すると良いと思います。
ただ、解剖実習の間に使うことが多いので、図書館などで借りるだけというのもありだと思います。
解剖アトラスのアプリ
本ではないのですが、使い勝手のいいアプリの紹介です。
このアトラスというアプリでは、体の中の全ての構造について、部位を変えながら表示できます。
- 実習中などに、今見ているものはどれなのか?
- どのような位置関係になっているのか?
など、本では固定されて動かないものを自由に動かして見ることができます。
操作次第で人体のどんな構造も出すことができる最強のアプリです。
アプリにしては値段が高く感じるかもしれませんが、その万能性を考えると安いと思います。
急いでいない人は、春と秋の2回セールをしていることがあるので、そのときに買いましょう。
解剖実習の手引き
解剖学の座学が終われば、系統解剖実習をやります。
解剖実習では、実際にご遺体を解剖させていただきます。この実習では、多くの大学で解剖実習の手引きに沿って進めます。
実習を有意義なものにするためにも購入して予習をすることをおすすめします。
解剖勉強法まとめ
解剖学はその後の医学を学ぶ上でも非常に重要な科目です。
文字情報、視覚的な情報を繋げて覚えることを意識しながら頑張ってください。
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